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summer garden

夏はエエですな。
ヨーロッパはところによって寒いらしいけれど、夏が寒いのは悲しい。アメリカを含む環境を省みない国々のバカどもが(もちろん私も含まれる)引き起こしている地球温暖化の影響だとしたら本当に申し訳ない。夏が寒いだなんて人類の悲劇である。もしNYの夏が寒かったら大抵の住人はとうに引越ししていることだろう。

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上手く撮れてないけれど手前からレタス、ラディッシュ、胡瓜、人参、ビーツ。横にはトマト。
奥のほうに見える大きい葉っぱはズッキーニ。

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ビーツ

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人参 雑草いっぱい

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ズッキーニ もう蕾ができている

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ラディッシュ 引っこ抜いてホースで洗ってそのまま庭でかじる
へたなどは庭にプッと吹いて捨てる ずぼら自然農法とも言える

以前に書いたかもしれないが、ここ2,3ヶ月アカルは食べず嫌いというか、好き嫌いというか、ご飯やパンやパスタや甘いもの以外は全く食べないようになった。ある日いつものように作ったごはんをスプーンで食べさせようとして吐き出されていると、「スプーンを口に入れた瞬間からそのまま動かさないで待っていると吐き出さずに食べる」と言う。そしてその通り入れられたスプーンを口に含んだままもぐもぐ食べるではないか。それ以来、お肉でも野菜でも何でも大きい口を空けてぱくぱく食べるようになった。・・・・一体この何ヶ月かのバトルは何だったのだろう。スプーンが口の中で動くのが嫌だったの???

というわけで食べ始めました。母も書き始めました。

7月末にはお掃除の会でニューヨーク州キャッツキルにキャンプに行く予定。その前に私は一人でマサチューセッツ州にあるKripalu CenterでAlanのメディテーション・リトリートに参加しようかと思ってる。本当はインドに行きたいと思っていたけれど、日本にも帰りたいし(今年は飛行機代が高い!)お金もあまりないし、近場だけどすてきで濃厚な夏の時間を過ごしたい。みなさんも短い夏を楽しんでください(冬が来るのか今から悲しいニューヨーカー)。

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# by flyingbocian | 2010-06-22 00:17 | 1歳

ラドシュキ村の子供たち

     玄関で髪をバリカンで刈ってもらったアカル。何故かいつも伸びてくるとトップがまっすぐ上に生えるのでモヒカンか芝生みたいになってしまう。それでも伸ばせば髪の重さでしなっとしてくるのではと生後16ヶ月の今まで頑張ってきたが、どうもこのまま噴水風に長く上に伸びるだけみたいなので旦那の弟に切ってもらうことにした。というのも2歳の末っ子のベリーショート坊主頭がとても可愛かったので。オムツ一丁でバリバリ刈られたけど、全然泣かずに大人しくしてたよ。えらかった。

     ビフォー
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     アフター
     隣にいるのは妊婦みたいな元妊婦。。。
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     モンちゃーん、かわいくなったねー
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     アカル氏は言っちゃえば白と黄色のハーフなので髪型や服装、その日の気分や表情によって顔の微妙な色彩が変化し、日々異なるテイストを醸し出す印象派の絵のようなお方だ。見る側の人種や居住地によっても何となく共通した解釈の傾向がある。彼が日本へ行けばもう”外人”である。私が連れているから”あ、ハーフね”みたいな感じ。NYでは日本人を含むアジア系には”旦那と瓜二つ。でもミックスね”ということになるが、その他の人種には”ミックスだけどちょっとアジアっぽいわね。頭の形はお父さんに似てる”などなど。でもここ、ポーランドでは”ものすごくアジア人顔。母親そっくり”でその判断を揺るがすことはできない。私もかねがねアカル氏にはモンゴルの草原の名残を感じていたが(蒙古斑ばっちり)、肌は色白だと思っていた。冬の終わりのハワイ旅行以降どんどん日焼けで黒くなっていったのもあるが、ポーランドに着いて周りと見比べると、いやこれはもう全然違う人種のカオリがプーンとしていて、白くなんか全然ない。まあ、それは別に全然OKどころかユニークでエキゾチックで、私にとっては世界一かわいいベイビーであるのは当然だが、バリカンで髪を刈ってくれたカジックが、坊主頭のアカルをしみじみと見て「ポーランド刈りにしたからかなあ、やっぱりミハウ(マイケル)に似てるね」と言った。「どのへんが?」と聞くと「うーん、どことなく全体的にチラホラと。」と言う。「目と鼻はお母さん似だけどおでことか口とか。そしてもちろん耳はミハウ(二人とも大きい)」ここのうちの子はみんなブロンドかダークブロンド、そして肌はやはり透き通るくらい白い。アカルもお目目ぱっちりだけど、主にそれは眼力によるもので(?)みんなのはまさにバチーッと顔の上に輝いてる感じだ。

     当然ながら子供はあまり人種の違いとか気にしない。アカルに至っては自分は完全にみんなと一緒だと思って人見知りもせずに甘えている。ここのうちの末っ子は2歳になったばかりの次男で、放っておいてもベンチでぼーっと座ってにこにこしているおっとりさん。寝ていて起きてもあまり泣いたりしないので、こんな赤ちゃんが存在するのかと私たち夫婦は最初びっくりした。それに比べると何と我が子の騒がしいことか。初めてみんなに会った時も、すぐに台所のベンチに上り隣にいる赤ちゃんの肩をバンバン叩いて「よう!」みたいな挨拶をしたかと思うと、興奮してウキーッと奇声をあげてお得意のタップダンスを披露するわ、そのへんにあるもの何でも取ってみんなにいちいち手渡してガハガハ笑う始末。一家は目を丸くしてしばらく見入っていた。アカルは年上の元気な男の子が好きなのですぐにウカシュに懐いてしまった。ウカシュが来ると近づいて何もないのにガハガハ笑う。みんなは大いに笑って「可愛い」と言ってくれた。
     ところが初日の夜、末っ子のベビーベッドを借りて2日ぶりにちゃんと就寝したアカル氏は、私たち大人が恒例の自家製ウォッカをグビグビやってフラフラになってから泥の中のうなぎのような幸せな眠りを貪っているところに、ギャーッとヤマタノオロチのような奇声をあげて哺乳瓶を半分飲み干し(生乳)、また1時間後奇声&哺乳瓶半分、また1時間後に・・・というのを一晩続けたのである。この家族は小さくて素朴な古い家に大勢で住んでいるので、1つのソファベッドに2人ずつ一緒に丸まって寝ている。私たちはダイニングルームにある大きめのソファベッドを与えられ、同じ部屋の小さめのソファベッドで姉妹二人が寝ていた。それなのに何度もがさごそ、暗闇で哺乳瓶を床に落っことしたり、キレた私が吠えたり、それを旦那がたしなめたりして相当にうるさかったと思う。すぐ隣の居間にはその他の家族が寝ているにも関わらず、何度かドアを開けて隣接する台所へ新しい牛乳を取りに行ったり、ウォッカで膨れまくった膀胱を救助しにトイレへ行ったり、私がホストならキレてる。本当に申し訳なかった。
     朝遅くに起きると、子供たちはもう学校に行っていなかったので(ついでに弟夫妻も外で働いておられた。テーブルには私たちのために用意されたハムとライ麦パンの朝食が・・・。はずかしー)、夕方に帰ってきてからおそるおそる昨夜はうるさくてごめんなさい・・・と子供たちに謝ったら、みんなキョトンとして「1回起きたけどすぐ寝た」「1回も起きなかった」と言う。信じられなかったけど、みんなよっぽどの事でない限り起きないらしい。たくましいなあ。集団生活に慣れてるんだなと胸を撫で下ろす。

ラドシュキ村の子供たち_b0166613_6505447.jpgバンパーがないから頭をぶつけて起きるのか  

ラドシュキ村の子供たち_b0166613_65152100.jpg家の庭にでっかいブランコがある。ブランコ狂には天国 


     兄弟/姉妹がたくさんいるから、小さいながらにみんな集団生活力というのはかなりある。大きい子は小さい子の面倒をよく見る。逆に一家のお母さんが子供と遊んでいるところはほとんど見なかった。彼女は食事を作ったり、掃除をしたり、赤ちゃんを食べさせたり、お風呂に入れたり、着替えさせたり、いつも忙しく働いているけれど(彼女を見ていると「家事は仕事」って感じがする)、考えてみれば一緒に遊んだりするところは見なかった。そのへんはどっちかというと「放っておく」という感じで、代わりに子供たちは勝手に遊び、他の子の面倒を見る。そういう風にちゃんとしつけされているのだろう。アカルも随分と遊んでもらった。私たちもわりにずっと子供たちと一緒にいたのでもしかしたら彼女もいつもより仕事の専念できたのかもしれないけれど、子供と遊ぶ、という感覚が私たちとは少し違うような気がするのだ。もちろんカジックはとても子煩悩で、仕事が終わった夜や昼間の中休みの時間などに子供を抱っこしたりあやしたり、話しかけたり宿題を見たりはするけれど、基本的に親は仕事をする、子供は自分で遊ぶ、子供は親を手伝う、年上の子供は下の子供の面倒を見る、という構図になっているのではないだろうか。だから親は子供と遊ばない。おもちゃもそんなにたくさん与えない(特に大きい子供)。遊びは自分で見つけて自分で作るもの。まっとうな意見のように思えるが、日本やアメリカの一般的な家庭と少し違うような気がしないだろうか。
     たとえば日曜日に前にも書いたファースト・コミュニオンの儀式があった。ウカシュはきちんとした正装をし、スーツやドレス姿の親戚が集まり、豪華な料理が作られ、女の子たちは綺麗に着飾ってお祭りムードである。みんなでいくつかの車に別れて乗り、教会へ行って写真を撮りながら儀式が始まるのを待つ。とそこで、ウカシュの他の子供は一番上の13歳の女の子しか来ていないのに気づくのだ。

「他の子はどうしたの?」
「僕も知らなかったけど、他の子は家で留守番みたいだよ。ほら、トメック(2歳の子)を連れてくると大変だからじゃないか」
「えー、じゃあ女の子二人で子守?」
「たぶん」

     まあファースト・コミュニオンの儀式もいつも同じだろうし、彼女達もそれほど遠くない昔に経験済みなのだから、行かないからと言ってそんなに大したことではないとは思う。でもこの田舎は大きなイベントやエンターテイメントなんてほとんどないし、子供たちは基本的にいつも退屈して何か面白いことに飢えている(と思う)。私が子供だったら行きたいと思うし、親だったら行かせてあげたいと思うだろう。ニューヨークならどんな小さな赤ちゃんでもよっぽどでない限り連れてくると思われる。ここではある意味、大人の言うことを子供は聞かなきゃならない。子供は大人を助けなくてはならない。そしてそれは普通のことなのだ。

     ファースト・コミュニオンの翌日もホリデーで子供たちは学校がお休み。アメリカで言うロング・ウィークエンドである。NYなら親戚の家に遊びに行ったり、郊外へキャンプしに行ったりする家庭も多いだろう。でもここは養豚場なので両親は家を離れられない。何だか子供たちがかわいそうになったのでヨガでもする?とか隣町に行ってピザでも食べる?とか提案すると(私たちも車がなくて何もできず死にそうなくらい暇だった)、みんな喜んでしよう、しようと言う。実際子供たち3人とミニ・ヨガクラスをしたのだが、みんな驚くくらい飲み込みが早くてびっくりした。最初は私が英語で言ってそれを旦那が訳してくれてたのだけど、すぐに何も言わなくても(通訳がなくても)みんなちゃんとコピーできるのがわかって、結構さっさっといろんなことができた。中でも蓮華座を組んで両手をお尻の横に置いて体を持ち上げるtolasanaというアドバンス・ポーズを(http://www.yogajournal.com/poses/1706)補助なしてみんな一発でできたのにはたまげた。やっぱり子供はすごい。「チョーチャ(おばさん)がいたら毎朝30分早起きして練習するのに」と言ってくれたけど、もしそれができたら私だって楽しかっただろう。そして1ヶ月もすればみんな、私よりずっと上手くなって何でもできるようになるだろう。本当にそう思った。


    みんなで寝るの楽しいな~

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# by flyingbocian | 2010-06-04 12:21 | 1歳

ラドシュキ村の動物たち その2

    ところで養豚場というからには食べるために育ててるわけで、今いるかわいい子豚ちゃんたちもかわいくない母豚ちゃんたちもいずれは売られて食べられてしまう。ちなみにこのうちで食べるお肉は全部自家製。1年に3,4回専門の職人が家に来て豚を1頭殺して、2日くらいかけて大量のソーセージ、いろんな種類のハム、カシャンカ(豚の血と穀物を混ぜたレバーペーストみたいなもの:超美味)などを家族用に作るのだそうだ。それを冷凍庫に保存して毎日食べる。もちろん生肉をスライスしたものなども大量にあって、焼いたり煮たりいろんな料理を作る。時々にわとりやあひるも家の奥さんが絞めて食卓に並べられる。あひるの脂肪を料理の隠し味として使ってコクを出したり、卵も牛乳も文字通り産みたて絞りたて。言うまでもないがどれもかなり美味しいので食欲は進む。毎日2回絞られる牛乳は生乳なので毎回きちんと火にかけて沸騰させなければならない。最初は面倒くさいなあとかバチあたりなことを思っていたのだが(アカルが弾丸のように飲むので)、かわいいホーローの鍋に弱火でくっくっと煮立てるのも何だか心落ち着く楽しいひと時となって、家に帰ったら絶対もう電子レンジは使わないぞーと思うくらいハマッてたのだが、ニューヨークに戻ると一度も鍋なんかで温めたりしなかった(私ってすぐその土地に馴染んでしまうのさ・・・)。。。下痢をするかもと思っていたが、そんな懸念は露知らず、アカルは何の不都合もなく毎日自家製牛乳をグビグビ飲んでいた。あまり牛乳を飲まない私は1~2杯を飲んだだけだが割りにさっぱりとした甘さで飲みやすい。

    子供たちは自分たちが食べるために動物を殺すことについてどう思っているんだろう?特に最初に来たときはそれが気になった。5年前のある日豚小屋の中で遊んでいたら、生まれて間もない小さい豚が動かずに死んでいた。子供たちはお父さんに知らせて彼がどこかへ死んだ豚を連れて行った。「死んじゃったの?」と聞くと子供たちは静かにこっくりと頷く。その後でマイケルに死んだ動物はどうするのと聞いたら、家畜の場合は少し離れた森の中に置いておくという。最近はうるさくなって法律で禁じられているそうだが、彼らは昔から大抵そうしていたらしい。そうすると狐などが夜中にやってきて死骸を持っていくという。リサイクルという訳だ。あひるやにわとりも狐に襲われていなくなることが頻繁ではないけれどたまにあるという。大抵は夜中、どこからか狐が入り込んできたり、気づかないうちに鳥が家に戻らなかったりして(夕方外で草をつまむために放している)、いつの間にか何羽か足りなくなっている。またはどこかの土の上に鳥の羽が散乱しているのを見つける。それでみんなはああ、狐に食べられちゃったんだなと思うらしい。死というのは時々普通に起こるもの、という感覚なのかもしれない。

     あひるやにわとりを絞めるのは一家のお母さんであるユスティーナの仕事だ。今回は5人兄弟の4番目で長男のウカシュのファースト・コミュニオン(聖体節・聖体拝領/”8歳になった子供たちはキリスト聖体拝領の儀式を受け正式にカソリック教徒となります”と手元のポーランド語指さし会話帳に書いてある)というビッグイベントがあるため、いろんなところから親戚が集まって祝うことになっている。私たちは一番遠いところから来た客というわけだ。もちろん自宅でたくさんのご馳走が振舞われることになっていて、そのためにわざわざ奥さんの実家からおばさんたちが駆けつけ、2日がかりで食事を作るらしい。この儀式については別に書く予定なのでここでは触れないが、こういうお祝いのときはよく鶏を絞めて料理を作る。おばさんたちが台所で黙々と(うそ。かなりお喋りがうるさかった)料理をしているとき、ふと台所へ行くと、鶏がまさに捌かれた後で肉、臓物、皮などがきちんと分けられて大鍋に入れられ、その横のビニール袋には足や何かが捨てられていた。私が入っていくと、丁度ユスティーナは丁寧に台所のスツールの表面を拭いていた。包丁の切り傷などが見えたので、どうやらスツールの上で鶏を捌いたか切ったかしたようだ。長方形の木のスツールなのでお手軽なまな板として便利そうだが、次から台所のテーブルに座るときは、どのスツールだったのだろうと丹念に探さなくてはならなかった。

     鶏を殺すのはどういう感じがするものなのだろうか。変な質問だが聞いてみたかった。でも何となく失礼な気がしたので代わりに「鶏の羽根ってどうやってむしるの?」と聞いてみた。

カジック 「そんなの簡単だよ、熱湯に漬けるとぶわーっと自然に抜けていくんだよ」
私 「ほー(内心の声:うげっ)」
カジック 「その後に余った内臓とか時には首とかはピクシュにあげるんだ」
私 「え!!ピクシュ(子犬)に?!」
カジック 「そう。ハハハ」
私 「生のまま食べるの?首も??」
カジック 「犬は大好きなんだよ。ユスティーナが熱湯の入ったバケツとナタを持って鶏小屋に向かうのを見ると、ピクシュはすぐに喜んで追いていくんだ」

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     ピクシュは大人しいので鎖にはつながれずに農場や森を好きに闊歩して自由に生きているのだが、その一方小屋などは与えられておらず家には絶対に入れてもらえないので、極寒の日々を彼がどうやってサバイブしているのかは誰もはっきりとは知らない。しかしおそらく豚ちゃんたちと一緒に寝たり、牛や鶏たちと一緒に寝たりして暖を取っているものと思われる。そんな風に仲良くしてもらいながら、殺されるときには、ウッシッシお肉~!だなんていくらなんでもひどすぎる(と私は思う・・・)。ピクシュは白い犬だが、もちろん洗ったり櫛で体をすいてもらったりしたことはゼロで、年に何度か川に放り込まれて泳ぎ風呂させてもらうだけだからいつも薄汚れている。私はそんな彼がちょっとかわいそうで(つい実家のゴンを思い出してしまう)、時々長いこと撫でてマッサージをしてあげてたから、ピクシュは私に結構懐いていたのだ。そんな彼のダークサイドを垣間見た後では触れる手も少し躊躇して気持ち的に疎遠になってしまった。実際このことを知ったのは5年前に来たときだったのだが私にとっては衝撃的だった。今回ポーランドに着いて2日目の朝、ピクシュの鼻周りがどす黒く染まっていたのに気づいたとき、自分でも驚いたのだけど、非常に冷静に「あ、また鶏の内臓をじゅるじゅる食べやがったな。いつ殺したんだろう」と考察する私がいた。まあ、鶏じゃなくても、森にはいろんな生き物がいるから、食べるかどうかは別として何か死体を発見したのかもしれない。よく考えたら私だって生レバーが好きだし、自分で手は汚さないのに肉も魚も喜んで食べる。昔、マイケルが子供の頃は家のウサギなんかも食用でお母さんが殺して料理をしたそうだ。殺すこともたまに普通に起きるという感覚なのかもしれない。

     よっぽどのことがない限り私にはできないけど、作ってもらったご飯は美味しい美味しいと言ってガツガツ全部食べる。豚さん、ありがとう。鶏さん、ありがとう。おかげで元気にこんなアホな文章も書けます。5人兄弟の中で一番上の13歳の子はすらっとした身長160センチ(!)で、どう見ても16歳以上のものすごく綺麗な女の子である。ロー・ティーン特有の甘酸っぱい魅力が(何じゃそりゃ)存在全体から溢れ出しているような彼女も、大きくなったらお母さんみたいに家族のために鶏を捌くのかと思うと何だかとても頼もしい。

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裏の森でバーベキュー。ソーセージはこうやって食べるのが一番美味しいと思う。


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森の木で作った即席串。ソーセージ、本当においしいよ~


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                 おいら今回出番が少ない・・・

# by flyingbocian | 2010-05-31 22:29 | 1歳

ラドシュキ村の動物たち その1

 ここが”何もない”という形容詞がふさわしい村であることは既に書いた。旦那の実家は養豚場だということも既に書いた。今回はそんな村に住む(飼われている)豚ちゃんたちやその他の動物について書いてみたい。

 5年前初めて来たとき、私は豚ちゃんたちにものすごく魅せられた。毎日豚小屋を訪れ写真を撮り、赤ちゃん豚を抱っこしてその可愛さにしびれたものだった。ちなみに豚小屋というものはものすごく臭い。大体私はわりに街の子であまり家畜や森などに縁がなかったから、最初は細い目がまん丸になるくらい驚いて、怖いような、でもがんばりたいような気持ちを胸に、豚小屋が発する臭気が肌に突き刺すのを全身であらがって豚と遊んだ。もちろん触れることができたのは子豚だけ。親豚はそれはそれはでかくて汚くて、直視することもできないほど恐れ多い。でも農場で生まれ育って豚や牛が家族のようなウカシュは、当時4歳ながら堂々と柵の中に入って大きい豚の上でサーフィンをしていた。次から次へと子豚を捕まえては私に手渡してくれたのだ。それどころか糞のついた藁の束をわははーと笑ってつかんだり、手が汚れた私にホースで水をかけて洗ってくれたりもした。

 ところで豚というのは怖がりで、びっくりするとピギーッとつんざく音を発する。切迫感のあるそれでいて哀愁漂う声である。旦那に言わせるとウサギもすごい声で鳴くらしい。「それも殺されるとき」と言うから、そんな声を聞く機会だけには恵まれたくない。やっぱり別世界である。ところが今回は興味を失った私を引き継ぐようにアカルが豚に興味深深。何度も小屋へ行こうとする。豚がそれこそ本当にフンガフンガ言いながらエサを食べている、どちらかといえばかなり醜悪な情景も間近まで行ってジィィーと見つめる。今までこんなの見たことないという感じ。

 だんだん私たちにも慣れてきたウカシュとその他の子供たちは、アカルの手を引いて農場のいろんな所へ連れてってくれる。私たちが喋っていたりしてちょっと目を離した隙にアカルがどこかへ行ったり、何かしようとしたりしてちょっとヤバイなということになると、すぐに誰かが走っていって一緒に遊んだり連れ戻してきてくれるのだ。これには親として大助かりである。小さい子の面倒を見ることはとりわけ迷惑なことでなく、とても自然なことのようだった。というか、やることもあまりないので結構みんな楽しんで遊んでいた感じがした。この辺の感覚は日本とはかなり違うんじゃないだろうか。やっぱり兄弟/姉妹はいた方が楽しいし学ぶことが多い。

 ある午後、みんなで外の庭で遊んでたら、突然子供たちが牛舎の方を見て「あっ!」と叫んだ。私には全然わからなかったけど、どうやらブル(雄牛)の鎖が外れてしまって小屋から出そうになってるらしい。すぐに子供たちのお母さんが(旦那の弟の奥さん。私より若い)「ウカシュ!」と何かを言いつけると、彼も静かにうなづいて素早く物陰に隠れながら小屋に近づいていった。察するに見つからないように小屋の戸を閉めろということだったんじゃないか。9歳なのにつくづくたくましい。するとすぐにブルが勢いよく小屋から飛び出てきた。途端にみんながキャーッと叫び声をあげて家の中に走っていく。私もびっくりして「マイケル、アカルを中に入れて!!」と少し離れたところでブランコに乗ってた二人の方へ叫んだ。ブルは家の方には向かわず、牛舎の前の砂地をグルグルすごい勢いで回っている。すると旦那は「あー、大丈夫だよ」とそのままブランコを揺らすではないか。「でもみんな避難してるよ!!アカル!」と叫ぶと「うん、まだ大丈夫」と言う。ほんまかいなと思いながらしつこく「アカル!アカル!」と叫んでみたけどマイケルは一向に動こうとしない。

「カジックがすぐ連れ戻すよ」

 彼があんまり落ち着いてるのでそのまま仕方なく子供たちに続いて自分だけ家の中に入った(薄情)。家の中から子供たちと一緒に外をうかがう。みんなが口々に「フェルナンデス」と言っている。どうやら牛の名前のようだ。カジックと一番末の弟が両手を広げてフェルナンデスを小屋の中へ追い込もうとしているが、興奮しているみたいで中々上手くいかない。その後もフェルナンデスは何度もグルグルと牛舎の前を回ってからどこかへ行ってしまったが、しばらくするとカジックにお尻を押されながらゆっくり帰ってきた。カジックは鞭とか何か持ってたわけでなく、ただ声で命令するだけだったのに、フェルナンデスは従順にとぼとぼ小屋へ戻ってきたのだ。

「ほらね」とマイケル。
「でもこわかったよー」と私。
「知らないとね、こわいよね。でも牛は大抵大人しいんだよ」

 確かに知らないと怖いのかもしれない。実は私は小さい頃、ずっと鳩が怖かった。家の近くの大きなお寺に鳩がいっぱいいて、写生会なんかで境内に行くのも怖かった。本当は今でも鳥全般がまだ少し怖い。くちばしとか、手とか。だから牛舎の上にはしごで登ったとき鳩の部屋があったのでちょっとギクッとした。ウカシュが世話をしているという10羽くらいの鳩は背中が白くてお腹のところが少し黒い。日本にいるねずみ色の鳩なんかとはかなり違ってとてもきれいだ。

 「チョーチャ(叔母さん)、触ってみて」と目の前に差し出されたので、下にいるマイケルに頼んで”チョーチャは鳥がこわい”と伝えてもらった。それを聞いてみんなはびっくりしたよう。ウカシュは「こんなにかわいいのに」と言って(たぶん)、抱いている鳩の背中を頬ずりする。がんばって少し背中を撫ぜてみると、ほんのりとあったかい。頭も撫でてみたけどとても大人しかった。はしごを降りるとたくさんの鳩が屋根に止まっているのが見える。1羽が二階の窓から出てきたかと思うと、みんな一斉にぱーっと飛び立つ。まるでリボンの騎士のオープニングみたいに。パパパ・パッパーパ・パッパーパパーパ・・・・

 千年、万年、100万年~(わからない人はラピュタの冒頭でも思い出してください)

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ラドシュキ村の動物たち その1_b0166613_14481873.jpg                             


    おいらも~

ラドシュキ村の動物たち その1_b0166613_14491152.jpg                         牛さん、何考えてるの?

ラドシュキ村の動物たち その1_b0166613_14504950.jpg      やっぱこわいよう・・・

ラドシュキ村の動物たち その1_b0166613_14512174.jpg       左にあるのが牛舎

ラドシュキ村の動物たち その1_b0166613_1452030.jpg       おとうはん、すごいとこでんな
# by flyingbocian | 2010-05-31 03:49 | 1歳

ラドシュキ村にて 空港での再会

 ウカシュが迎えに来ることになっている、と聞いて私はどきどきしていた。

 以前に会ったのはもう5年前であのときはまだ4歳だった。Eメールで送られてきた写真は別人のように大きくなっていたから、ちょっぴり淋しい思いは経験済みで心の準備はできている。あの愛らしい腕白小僧のウカシュじゃなくなってるかもしれない。高鳴る期待を抑えながら、ついでに丸1日寝ていなくてフラフラ揺れる頭も押さえながら、私達は1時間半以上到着ロビーで待っていた。飛行機が1時間くらい早く到着したのもあるけれど、いくら待っても来ないので携帯に電話してみれば?と旦那に言うと、携帯電話番号知らないとのこと。 ・・・・
 自分の口臭に頭痛もさらに深くなる、というか家族の前で口が開けられないので、一刻も早く歯を磨きたかったが、でっかいスーツケースをひっくり返す気力はもちろんない。チューインガムがほしいと旦那に頼んだら、ズウォティ(ポーランドの通貨)持ってないし、空港は換金の率が悪いので田舎で換えると言う。 ・・・・

 とにかく2日くらい寝てないので疲れて動けず、興奮してエスカレーターを昇ったり降りたりするアカルを見ながらガムのために20ドルくらいだけ換金しようと思ったりしていると、いつの間にかいなくなってた旦那が向こうから歩いてくるのが見えた。横には旦那の弟とその子供の姿が。彼らは国際線の方でずっと待っていたそうだ。ポーランドはEUに加盟しているのでフィンランドからの飛行機は国内線のターミナルに入るみたいだ。つまり、アメリカからフィンランドに入国した時点でもうヨーロッパ国には入国していたということになる。パスポートにはフィンランドのスタンプしか押されない。おおお~

 マイケルの弟に挨拶してからウカシュを抱きしめるとプイッと顔をそむけられた(ちなみに旦那が空港で両替してガムを買ってくれたので、口臭のせいではない)。ガ、ガーン。。。ひょっとして思春期とかいうやつだろうか。。それにしても抱きしめたウカシュは骨が当たって痛いくらいガリガリだった。殆ど白に近いような金髪にスラーッと伸びた手足、くりくりのお目々。田舎の子はわりとシャイなのだろうけど、綺麗な分、そっぽを向かれると何だか怖い。

 車に乗り込んで、りんごの絵の書かれたトレイ付きのかわいいチャイルドシートにアカルを座らせる。でもよく見たらこのシート、発砲スチロールみたいな素材でできててめちゃ軽い。こんなんで大丈夫なんやろか。でもこういうポーランドの野暮さが好き。アカルをはさんで私とウカシュが後部座席に座ったのだけど、私に対してとは一変してアカルにはおみやげの熊のぬいぐるみで笑いかけて遊んでくれる。アカルが哺乳瓶をうまく持てないでいると(高く持ち上げられない)ちゃんと横から哺乳瓶を持ち上げてずっと支えてくれた。子供の面倒を見るのに慣れているのに感心したが、アカルが寝てしまうと話すこともなくなりぼーっと車窓から見えるポーランド語表記のサインを一生懸命心の中で読み上げていた。

 マイケルの田舎のラドシュキ村はワルシャワから車で3時間北上したところにある、”何もない”というのが一番正しい形容詞のかなりな田舎である。両親はすでに他界してるので4人兄弟のマイケルの三男が養豚場を継いで、子供5人と独身の四男の8人で暮らしている。豚は500頭くらい、家族用の乳牛1頭と5~6頭の雄牛、あひるにひわとりが20羽ずつくらい、犬が3頭いる。最近新たに鳩も数羽加わって、これはウカシュが面倒をみているらしい。そして夏はものすごく大量のハエが・・・。飼ってるわけじゃないけど、もうお友達のような存在で豚小屋には恐怖を感じるくらいザワザワと、家の中には招かざる騒がしい客といった感じでウヨウヨといる。あー、楽しみだな(いや、ハエだけじゃなくって・・・)。ちなみにハエはポーランド語でムハという。

 それから一度も休憩をすることなくポーランド風恐怖運転で(マイケル弟はわりに丁寧な運転なんだけど)一本道の国道(?)を突っ走り、3時間後に無事村へ到着。「ピクシュ!サバ!」と憶えている犬たちを指差してから、膀胱状況がかなり緊迫していた私はおトイレへ。それから出迎えてくれたみんなと再会を果たし、例の3回ほっぺにキスチュパチュパ、お手々にぶちゅ攻撃(歓迎)を受けたのであった。

ラドシュキ村にて 空港での再会_b0166613_67138.jpg空港で何度もウォーキングエスカレーターに乗るアカル
ラドシュキ村にて 空港での再会_b0166613_681268.jpg  Witamy!
ラドシュキ村にて 空港での再会_b0166613_615012.jpg裏の林はどこまでも続く
ラドシュキ村にて 空港での再会_b0166613_6152482.jpg
ラドシュキ村にて 空港での再会_b0166613_6211529.jpg暖房用の薪
4月の終わりだけど朝夕はまだ暖房を入れる
ラドシュキ村にて 空港での再会_b0166613_615485.jpgイエーイ!(鼻はさっそくコケて擦りむいた)
# by flyingbocian | 2010-05-27 04:06 | 1歳


異国のNY砂漠で子育てを乗り切るため睡眠を削って綴るもしかして爆笑もしかして涙ほろり日記


by flyingbocian

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