沖縄の旅 みちくさ牧場

沖縄北部の名護東村にある「みちくさ牧場」に4日間行ってきた。

http://www.ryufo.com
http://ameblo.jp/michikusabokujou/theme-10051503369.html


ここは「(反対)運動よりも教育を」「馬が人生の先生」と語る寄田(よりた)さんという方が、引退して殺処分にされる競走馬などを引き取って牧場をつくり、子どもや大人が馬の世話を通して寄り添って生きる社会作りを展開しているところだ。私は知らなかったのだけど、もう走れなくて殺処分になる馬は全国で年間4000頭くらいいるらしい。NPO法人インフォメーションセンターは全国各地にあるので、ぜひ行ってみてほしい。

沖縄のインフォメーションセンターは一番古いらしくて、平日の昼間は「こども園」というようちえんみたいなものがある。子どもが馬やロバの世話をしたり、乗馬したり、掃除をしたり、遊んだりして過ごすことができるのだ。知り合いが行ってとてもよかったというので、私も3歳になったアカルと行ってみた。

このころアカルはすぐに泣きわめくことが多かった。それもどこかに行くために歩いている道中で肩車してくれと泣く叫ぶのだ。私はスーツケースにバックパックを背負い両手に荷物を持っているので、すぐにブチ切れる。那覇のゲストハウスからモノレールで空港まで行って高速バスに乗らなくてはならないのに、宿を少し出たところで早くも「肩車」(いつも肩車をする旦那が悪いといつも心で怒っている)。名護のバスターミナルまで牧場のスタッフさんが迎えに来てくれることになっているのにー。しかたがないのでタクシーに乗ったら、すぐ近くに那覇バスターミナルというところがあり、そこから名護までバスが出ているとのこと。

ふううー

そんなこんなで無事到着じゃ~。やった~!

海にも山にも近いところに牧場はある

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この子と一緒のお馬さんサラを私は担当させてもらった


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小さい子どもたちはロバさんのお世話をする。アカルも混ぜてもらった


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実は長年沖縄に来たかった私。移住したときに困らないようにと、NYでは琉球舞踊も習った(変なところで用意周到)。はじめての沖縄はやんばるの原生林の広がる名護。いわゆる沖縄っぽくない風景と、なぜか馬さんのお世話をする環境にぼーっとしてしまう。

5月だったけど日中の沖縄はもう暑い。
その中を一日中外で子どもや馬さんと過ごす。
スタッフの人も優しくてたくましくて、コテージから見る夜空は澄んでいてさらにぼーっとする。

みちくさ牧場ではアカルの言葉とコミュニケーションの遅さにばかりに目がいってしまった。もともとアカルのためにここに来たようなものなんだけど、アカルと同じくらいか、それよりももっと小さい子どもたちに囲まれて生活することができたので、彼が一般的にどの程度なのかを相対的に見ることができたのだ。それも周りにいるのは日本の子どもたちである。状況に応じて靴を脱いだり履いたり、ご飯の食べ方、しぐさなどはやはりアメリカとは違う。アカルは靴を脱ぐのが嫌いで(ついでに手を洗うのもトイレに行くのも苦手)、ご飯もいろんなものは食べられないし、日本に来てから英語をほとんど話さなくなって変な日本語だけを話すので、他の子どもから「このヘンな男の子」と呼ばれたりもした。

「ヘンな男の子じゃないよ、アカルだよ」と言ってあげればよかったのだけど、アカルがそんな風に呼ばれるのを聞いて軽いショックを受けた私は何も言えなかった。

そりゃ「そっち行くない(行かない)」とか、男のクセに「わたし」とか「それやめて~だめよ~」とか言って、いつも一人でずっとトランポリンで遊んでる外人みたいな顔の子なんて「ヘンな男の子」だろう。おまけにいつもつま先立ちだし。

みちくさ牧場の旅で、私の「アカルは軽い発達障害があるかもしれない」という疑惑はかなり確信に変わった気がする。というのも周りの子があまりにもぺらぺら話すのにびっくらしたのだ。何せ2歳の子どもが「僕のお父さんは○○不動産で働いている」みたいなことを言うのだ。それに比べてアカルはもうすぐ3歳半なのに、人前ではほとんど話さず、話しても「おにぎ、たべる(おにぎり食べる)」「これいらない」「ちょうだい」「タタ電話(お父さんに電話する)」みたいなことしか話せない。いや、話せないだけならまだいいんだけど、アカルのヘンなこだわりがどんどん強くなってそれが私を不安な気持ちにさせることが多々ある。トイレ・トレーニングだってもう長いこと一生懸命やっているのに、トイレを異常に嫌がって全くできていない(これに関してはトイレ・トレーニングは親が一生懸命やるほどできなくなることがあると知り合いから助言を受けたことがあってなるほどと思ったこともある)。

それに対して寄田さんのパートナーでスタッフのNさんがこう言ってくれた。
「アカルは肌感覚がとても敏感だと思う。つま先で歩いているのも接触を嫌がっているからだと思う。だから手を洗ったり、裸になったり、トイレをしたりするのは彼にとって大変なことなんじゃない」

なるほど。
じゃあ、もっと土の上を裸足で歩かせたり(歩いてるけど)、もっと接触を楽しめるような環境を作ってあげればいいのかな、と思った。確かにアカルは手を洗うのが嫌いなんだけど、まず水を出して「見てごらん」「触ってごらん」「手を洗ってごらん」と言えば、すんなり洗うこともあるのだ。多くの場合、親側に時間と心の余裕がなくてそういう準備を作ってあげられないので、申し訳なく思う。

話が重くなったのでここらで写真を。ちなみにアカルの言葉についてはまた後日談があって、今現在は少しずつ状況も変わってきているのでご心配なく。


牧場内にトランポリンがある


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馬たちにあげるえさを積むついでに荷台に乗る子どもたち


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みちくさ牧場は子どもたちにとって天国のようなところだと思う。何てたってバラバラの年齢の子どもたちが一緒に学べる。大人が働いているのを間近でみて真似もできる。小さい子どもも大きい子どももみんなちゃんと馬やロバの世話するし、裸足や裸になって土遊びをしたり、草を摘んだり、冬になれば焚き火をしたり、外でご飯を食べたり。考えてみれば普通のことなんだけど、そんな普通のことが大切だと痛感する人は多いのではないだろうか。アカルが特別な教育環境を必要としない子どもであるのならば、みちくさ牧場のような環境で育ってほしいなー


牧場から歩いて15分くらいのところにあるコテージにて。アカルも大きくなりました。


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私自身のみちくさ感想としては、とにかくよく眠った。笑
空気がいいせいか、那覇のゲストハウスで地獄を見たせいか、夜も昼もぐうぐうぐうぐう本当によく眠った。朝は自然に早く目が覚めて、時々ベランダで加藤メソッドの呼吸法のCDを聞きながら練習したりもした。
そして馬ってとってもあったかい。体もどっしりしていながらしなやかで、撫でているのが本当に気持ちいい。最初は少し緊張したけど、2日目からは汚れたりするのも全く気にならなくなって、ひたすらお馬さんを撫でていた。うちの家族は代々競馬場で仕事をしている人が多いので、走れなくなった馬は莫大な維持費がかかるくせに稼げないから殺処分だってことは小さい頃からどこからともなく聞いていた。でもそれがどういうことなのか、よくわかっていなかった。それはこの温かみを失うことなんだ。馬は人間に依存していかなくてはこの社会で生きていけない。そんな弱者が生きていく温かみとやすらぎを失っていくことなんだ。

そんなことを思った4日間だった。


最後にちょっと長いけど代表の寄田さんの言葉を引用します。


私たちは、生きることへの困難から歩き始めた法人です。

私たちが、生きることへの困難を感じ、そんな私たちが生きるために、世界を変えたいと強く考えるようになりました。そしてそのためには、私が変わるしかないという、とても当たり前の事に気づき、私のための活動から始めました。
その時のパートナーは「馬」という動物でした。馬の寛容、馬の賢さ、馬の強さ、馬の弱さに支えられ少しずつ活動の幅を広げていきました。
そのなかで、馬は自然の一部であることに気づきます。そして、同時に、私たちも自然の一部であることに気づきます。私や馬を包み込む大きな自然、この自然と私と馬は、繋がりながら、ある。

この繋がりを未来に繋げる活動として、環境教育という概念を私たち法人の中心的な理念としています。環境教育という概念を柱に据え、牧場や畑を作り、まちづくりを実施し、海外での協働プロジェクトを行っています。
すべては私という小さな世界から始まった活動ですが、その活動は、セラピー、環境保全、まちづくり、教育、など大きな広がりと共にあります。

私たちの法人は、たくさんの「私」という世界と繋がりながら、大きな世界を考えていくNPO法人です。
あなたの「私」と繋がるために・・・・

(代表理事 寄田勝彦)


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# by flyingbocian | 2012-06-04 09:44 | 3歳~4歳

信じること

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子育てをしていると、不安になることがよくある。

これでいいのだろうか、もっとこうしてあげたいのに。

それでも子どもは一向に気にしていないようなので
ひとまずはホッとしたり自問したりする毎日。

でもあるとき、それは「私にきちんと子育てができるのだろうか」
というネガティブな観念があるから不安に思うのではないかと思った。

それなら「私にはきちんと子育てができる」と思ってみたらどうだろう。
なぜなら「私にはきちんと子育ちできる力があるから」だと。

「私には子育てができる」「子どもには子育ちができる」

それは子どものそばにいていろんな観察や体験を共有しているうちに
自然に沸いてきた思いと力がそう思わせてくれるのかもしれない。

さらにその観察と体験が丁寧で全体的であればあるほど、
信じる力は強くなるのではないだろうか。

親子の結びつきは、なるほど一般的にとても強いけれど、
それはこの「信じる気持ち」の力をあますところなく発揮すると
さらに強くなるのではないだろうか。

子どもは親から無償の愛情を注がれて育つ。
でもそれだけではなくて、「強く自分を信じてくれる人間」に
強い安心感を抱くと思う。

自分を信じてくれる人がいて、そのことが自分自身を信じる力を育て、
周りに信じる力を分け与える。人間だけではなく、他の生き物にも、
木や水や太陽や大地にも。

私が触れたいと思うスロービジネスは信じる力を育てるビジネスではないだろうか。
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# by flyingbocian | 2012-04-20 12:47 | 3歳~4歳

福岡合宿2012

2月27日からずっと旅をしている。

そのことを何とか書き留めておきたいと毎日思いながら、ずっとそのままになっているので、夕方子どもが眠ってしまったこの機会にようやく重い腰をあげようとコーヒーを淹れてコンピューターに向かっている。

名古屋のセントレアから大阪に入り、韓国人街の友人宅で飲めや食えやの2日間を過ごし、荷物を置きに1日だけ実家のある京都に戻って、またすぐに福岡へ発った。福岡へ行くのは3回目だ。

1回目は2008年、妊娠中に参加していたダンス公演のツアーで福岡を訪れ、天神に1週間飲めや歌えやの滞在をした。2回目は去年の6月、震災のせいだか何だかで頭と体が激しく混乱していたときに一人でアメリカから帰国し、所属しているスロービジネススクール(SBS)の本拠地の水巻、ゆっくり村のある赤村、筑豊の宿つどいば、imacoco(現Terra小屋)のある博多を訪れた。そして今回はSBS合宿に参加するため、再度水巻、赤村、つどいば、博多を訪れたという訳だ。今回の合宿の場所決定は、私がおさらいをできるように組んでくれたような気がしている。

合宿のことでパッと目に浮かび上がってくるのは、2日目だったか、夕食の後に大広間でみんなが膳市をやっている風景だ(膳というSBS内でお金の代わりに交換されている地域通貨かお金を使って、商品やサービスを交換し合うというもの)。地域通貨というあまり馴染みのないモノを紙に書いて交換し合って、まるで縁日のように部屋の中をみんなで好き勝手にうろうろする。時間が短かったので面白くなってきた頃に終わりになってしまい残念だったけれど、タッピングタッチを受けてぐうぐう眠っているお疲れなNコーチョーや、子どもに乗られたまま足つぼマッサージを受けているSさん(だったか?)や、手作りの商品を売るTさんの娘Yちゃん、そしてマヤ暦にハマッてCちゃんの話をふむふむと聞く私など、何だかとても「SBS」っぽい光景だった気がする。ついでに言うと、Cちゃんとはこのとき初めて会ったのだが、この人のほんわかした人柄の奥にするどい直感洞察のようなものを感じて、私は彼女のマヤ暦のコンサルティングに惹きこまれてしまった。そしてそのせいだか何だか、後日彼女のおうちに無理やり1泊泊まらせてもらったりもした。Cちゃん、またよろしくね。

今回の膳市で私は何も提供しなかったけれど、次回から絶対何かしたいと思った。ショップ膳というSBSが経営しているスロービジネスカンパニー(SBC)のネットショップからネロリウォーターのお試しキットを買ったのだが、9膳という高額に(?)最初はちょっと「持っている膳がなくなってしまうかも」と財布の紐を締めるような気持ちになってしまった。するとショップ膳のTさんが「膳はなくなったらまた作ればいいから」と言ってくれて、「あ!」という気持ちになった。そうだ、使うのではなくて交換するんだ、私と仲間さえいれば膳がなくなることはないんだ、と思い当たった。なくならないように貯めておこうとした自分が、なんだかベニスの商人の悪徳高利貸しシャイロックのように思えて恥ずかしかった(ちなみに私は小学校の学芸会でシャイロックを熱演したことがある)。

その他に合宿ではいろんなうれしい体験があったが、何といってもうれしかったのは、名前だけ知っていた人に直接会えて知り合えたことだった。そしてみんなの独特の存在感。特に女性では、見習いたいようなすばらしい人がたくさんいた。食のこと、仕事のこと、子どものこと、原発のこと。今まで気になっていたけれどそのままで終わっていたことに、すんなり向き合ってマイナーながらも確固と生きている人たち。福島の事故以来、大きな衝撃を受けて精神的にかなりダメージを受けたと静かに語るNコーチョー。その軌跡にささやかながらも一歩足を踏み入れられたことのうれしさを噛み締める。

膳市の後はみんなが片づけを手伝っていたのに、子連れだった私は早々に個室へ引き上げなくてはならなかったのが、後から思えばとても心苦しかった(そのときは一生懸命だったのであまり周囲に注意が向けられなかった。いつもながらこれも反省)。みんなは広間に雑魚寝だったのに、私たちは個室を与えてもらってそれもちょっと心苦しかったり寂しかったりしたが、実際とても助かった。

でも子どもが寝付いた後、同室だったCちゃんと一緒に部屋を抜け出し、まだ寝ないでいた不良酒飲み集団と台所のテーブルで一緒にだらだら酒を飲んで話せたのは楽しかった。不良ママのぼうとCちゃんが部屋に戻ったとき、一番小さい1歳のSくんが思いっきり泣いているのが廊下から聞こえて、笑いながら慌てて部屋へ入っていった。そんな小さなこともとても幸せな時間だった。

合宿の日程は全然スローじゃなくて子連れにはかなりハードなものだったのだが、この辺から私の子育てに関する心理状態が少しずつ変わっていった気がする。簡単にまとめると、子どもは大勢の子どもや大人に囲まれて育つと、子も親も楽にのびのびと生きられる、というようなことかもしれない。今までは子どもが何か“至らないこと”をしたりすると、恥ずかしくなって怒ったりやめさせようとしたりする気持ちが働いたけれど(“私が何とかしなければ”“私のせいで”と焦る)、大勢の家族のような仲間に囲まれていると「この子はこういう性質があるんだ、今はこういう状態なんだ」と冷静に観察しやすい気がする。この1ヶ月ちょっと続いた子連れ旅ではどんどんこの気持ちが強くなってきて、結果どんどん楽になっていった。

でもまあ傍から見れば、まだまだ髪の毛を振り乱して子どもに振り回されているように見られただろう(恥ずかしー)。合宿のあたりは特に、アカルは慣れない異国にいるせいか、時差のせいか、ちょっとしたことで激しく何度も泣いていたから。でもそれはアカルのせいじゃない。言葉もあまりわからない国で、いろんなところに連れまわされて彼も大変だったと思う。

あともうひとつ印象に残っていることは、赤村のツアーで陶芸の釜を持っている庵のようなところに行ったとき(この辺は子守が大変であまりよく覚えていないので記憶が間違っているかもしれない)、確か事務局のYさんの陶芸の師匠だった気がするその庵の持ち主が、「もう2年間かまどに火を入れてません」と話されたことだ。個人が食器などを作って生計を立てるということは現在の日本ではほとんど不可能だと言っておられた。「100金ショップなどで安く買えるのですから」

こういうことにはお金を貯めることばかり考えないで、できれば地域通貨などでどんどん交換していきたいと思った。

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# by flyingbocian | 2012-04-16 22:18 | 日本のこと

Tさんと

大雨の予報が出た水曜日、スロービジネススクール学生のTさんと会うべく3歳の息子をベビーカーに乗せて傘なしで京都駅まで向かう。どちらも携帯電話を持っていないし、会ったことも一度もないのに、混雑した京都駅内で待ち合わせる。

連絡はTさんがウーフをしている和歌山の農園に私がPCでスカイプから電話をし、Tさんは私の父の携帯電話に電話をしてくるという、何というか普段着でスローな二人であった。

「私は赤いバックパックを持っていて、黒いかばんを手に提げています」
「うん、でも私たちのことはすぐわかると思うよ。私はハーフの男の子を連れてベビーカーを押してるから」

そう言ったものの、真っ先に見つけたのは私のほうだった。遠めに後姿だったけど、ばっちりわかった。

「Tさん!」

人で混みに混んでる待ち合わせ場所から、私が調べてきていた駅ビル内の静かなイタリアンのお店に移動する。まずはいろいろ旅で経験してきたTさんのお話をぎこちなく聞く。和歌山のウーフ・ホストファミリーがとてもよかったようだ。農作業だけじゃなくていろんなことに新しい体験を得たみたいで、何ていうかちょっと初々しい感じがした。

私のほうは祝島での経験を簡単に話す。うまく伝えられないので、ぜひ実際に訪れてほしいと思う。その間に息子は裸足で座っているソファの上で跳ね回っている。

食事もデザートも程なく終わったけれど私たちはまだまだ席を立たない。話が弾んで仕方なかったという感じでもなかった。でもまだまだ一緒に時間を過ごしたかったし、外では雨が本降りになってとてもじゃないが外には出れなかった。

水を飲みながらTさんの絵を見せてもらう。
青や赤、少し光るグレイなどが多く使われているいろんな絵と時々文章。
毎日書かずにはいられなかったと言う。
外の雨はやむどころかどんどん激しくなっていく。

あまりに長居しているのと、子どもがうるさくなってきたのとで(どちらもTさんは全然気にならなかった模様)、もう一度デザートにケーキを注文する。
やってきた玉子ロールに喜ぶ子どもと、ティラミスをゆっくりシェアするふたりの大人。食べながら、そろそろ髪を切りに行きたいけど、とつぶやいた。子どもを見てくれる人がなかなかいなくてずっと切りに行けなかったのだ。

「お母さんが見えるところで私と一緒に待っていたらどうかな?」
「えー、いいの?」
「私で大丈夫かな」
「iPad持たしといたら(必殺技)大丈夫かも」

そんなこんなで好意に甘えて、京都駅から一駅山を越えて山科駅前まで一緒に来てもらう。雨はさらに強くなっている。桜は大丈夫だろうか。

母が短く切ってもらっている間、ふたりは楽しく音楽を聴いたりゲームをしていた。時折、歌声がドライヤーの音の隙間から聞こえてくる気がした。すっごく楽しかったとTさんは言ってくれた。

「どうもありがとう」
「こちらこそ楽しかった」
「またね。お互いがんばろう」

二人とも心の闇は自分の中に秘めたまま、いやそれだからこそ、ほのかな明かりをさらに光らせただろう。一瞬一瞬、これでいいんじゃないかと、もう少し素直になろうと、大げさかもしれないけれどそんな時間をほんの少しだけ共有できたのかもしれない。

ただご飯食べてケーキ食べて絵を見て、髪を切りに行っただけなんだけど。
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# by flyingbocian | 2012-04-16 21:56 | 自分のこと

Learn From 3.11第3回目イベント2月22日に開催します

第3回Learn From 3.11 知ることからはじめよう
新しい年が明けてホッとしながらも、どうしても去年起こった3.11のことを考えずにはいられません。
NY在住の日本人女性たちで立ち上げたLearn From 3.11も今回でイベント3回目で、被災地での心理ケアについてみなさんと情報と気持ちをシェアしたいと思います。

復興、復興とはやし立てる声がよく聞かれますが、外側の復興と内側の快復の両面でバランスを取りながらゆっくりやっていく必要があるように思います。長かったような短かったような、遠く離れたNYで直接被害にあった方々に面識のない私ですらそれなりに傷つ、涙した一年。被災地の人たちの心境やいかに・・・と思います。とにかくも本当に大変だと思う。やはり人の気持ちの快復には時間と労力がかかります。みんなで少しでも現状を知っていくために、被災地で国境なき医師団とともに1ヶ月を過ごされたクリニカル・ソーシャルワーカーの桐畑美香さんをお招きしてお話を聞き、その後はじっくりと時間を取って参加者みなさんで軽食をつまみながら歓談・情報シェアをする交流会の時間を持っています。ぜひいらしてください。

参加は予約制となっています。
learnfrom311@yahoo.co.jpまでお申し込みお願いします。


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第三回、Learn From 3.11 知る事から始めよう。

東日本大震災から1年、「心の被災、被災者と支援者への心のケア」
~南三陸町での1ヶ月:国境なき医師団とともに被災地での心理ケア活動に従事して

ゲストスピーカー:桐畑美香(クリニカル・ソーシャルワーカ
ー)


日程:2月22日(水)6:30pm 開場  6:45pm 開始
場所:日系人会ホール:15 West 44th Street, 11th Floor (bet. 5th & 6th Aves.)
会 費:$15(ブッフェ式軽食を含む。)
参加申し込みは、メールにてお願いしま す。
Email: learnfrom311@yahoo.co.jp
(男女を問わず、どなたでもご参加下さい。)

私たちの活動も第三回目を迎えました。
今回は、「心の被災、被災者と支援者の心のケア」に光を当てて、皆さんと話し合う場を持ちたいと思っています。
もう既に「震災関連死」と認定された方々は、1000人を越えています。そして、その中で、震災関連自殺者は、昨年末までで49人にものぼります。せっかく震災や津波も乗り越えた命が、無惨になくなっていくのは、つらい事です。

私たちNYにいる者たちには、どうすることもできないのかも知れませんが、被災者の心に寄り添い、その事について知り、考える事は、大事な事だと思います。これって、決して、被災者だけの特別な問題ではなく、何かのきっかけで、私たち自身もそういう状況下に立たされる事になるかもしれないからです。皆さんで学び、話しましょう。そして、どんな事が、一緒にできるのかを考えましょう。

*皆さんの活動をサポートします。
3月に、色々な団体がイベントを計画されているかと思いますが、私たちは、一足先に2/22にこのような会を持ちますので、皆さんの支援活動を紹介するコーナーも設けております。
もし、3月に何か支援イベントを企画されておられるなら、ぜひ、お知らせ下さい。チラシとかもございましたら、本会で配って頂いても構いませんので、よろし
く。

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>Email: learnfrom311@yahoo.co.jp
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# by flyingbocian | 2012-02-03 20:57 | 日本のこと

ごまをすりながら

  最近少し小ぶりのすり鉢を買ったのでよくごまをすっている。このごろのすり鉢は底にシリコンみたいな素材で円状にコーティングしてあるので、そのまま台の上に置いてもガタガタせずにちゃんとすれる。

  小さい頃、すり鉢を支えるのは私たち兄弟(本当は姉弟妹)の仕事だった。母はごまが好きだったので、よく濡れ布巾を下に敷いてすり鉢を置き、私たち子どもに支えてもらってごまをすった。そこへ醤油と砂糖を加えて、三度豆(いんげんまめ)やら、きぬさや(さやえんどう)やら、ほうれん草やらを入れて和えた。そうやってできた和え物をお皿に盛り付けるのだが、すり鉢のギザギザにごま和えのソースがくっついて少しだけど残ってしまう。母はいつもそこに炊きたてご飯を入れて混ぜ合わせ、ごまおにぎりを作ってくれた。もったいないという気持ちがあったんだろうけど、私たち兄弟はごま和えよりもこのごまおにぎりの方がすきだった。

  後年母が病床に就いていた頃、私や妹が家族の晩ごはんを一応は作っていたのだが、入院先から時々帰ってきていた母は私が台所に立つ姿を見てこう言った。
「あんたたちの料理は、煮物、焼き物、炒め物と何でもあるけど、和え物つうのがないなあ」
「和え物?」
「和え物はな、サッとできるしあっさりしてるし、いいんやで。でもすぐ食べなあかんけどな。次の日とかになったら水が出てくるから。」

  私は今もあまり和え物は作らないが、すり鉢を買ってからよくごまをすって茹でた野菜に混ぜ合わせるようになった。作り始めると、さすが母の言う通り簡単に1品を増やすことができるしいろんな野菜が食べられる。ごまだけでなく、お醤油と鰹節で和えたり、梅干をつぶして鰹節や刻み紫蘇で和えたり。母は酒飲みだったからよくこういったものを食べていた。

  そんなことを考えながら今日は茹でブロッコリーのごま和えを作った。私は砂糖は使わないので蜂蜜と小麦粉不使用のたまり醤油を入れた。子どもはまだごまが好きではないので、小さいおにぎりは私が食べた。
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# by flyingbocian | 2012-02-02 19:35 | 自分のこと

アカル3度目の誕生日会

2011年の後片付けを実行中。

まずは先週日曜日に1週早く行ったアカルちんバースデー・パーティ。
そんなにたくさん呼んでないつもりだったけど、子どもが多かったので幼稚園みたいな状態になった。
私の周りにはなぜか男の子が多い。今回もアカルを入れて男の子5人、女の子1人。
ようやく他人と遊べるようになったアカルは大はしゃぎ。朝から一人で「ハッピーバースデー」と歌っていた。
特に教えていないのに何でも知ってるなー

息をすって~(他の子は先に消しちゃだめだよー)

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ふううー 全然消えてへんでー

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そういえば夏のBBQではケーキを切ったら大泣きしていたなあ。
お隣の中国人一家も来てくれてよかった。
人数のワリにはケーキが小さくて(マンゴームースのケーキがもっと大きいと思っていたので)9歳の子どもに「どうしてもっと大きいの買わなかったの」と言われてしまったけど、そんでもって当日急いで買ったのでケーキに名前も入れてもらえなかったけど、それは来年の課題ということで・・・

今回は私なりにご飯も子どもたちへの小さなプレゼントもがんばったつもりだけど、至らない点はまた来年!
当日はAkiレストランでの今年最後の街頭清掃と重なっていたため、朝早く起きてマンハッタンまでアカル連れて出かけて、バタバタで帰ってきて誕生会となったから終わった後はソファでばったり倒れてしまうくらい疲れた。でも実はその前の週に、マンハッタンに住む知り合いのアパートが火事で焼けて、お掃除の後家具の持ち出しなどをみんなで手伝ったらしい。少し前にメールでその情報が回ってきたのだけど、なぜだか勘違いして読んでいなかったため手伝うこともせずにとっとと帰ってちょっと反省。まあどっちにしろパーティの準備でとても残れなかったと思うけど。年末に災害に見舞われて大変だったと思う。今年は例年以上にいろんなことのあった年だったけれど、来年はYear of Laugh & Love(笑い愛の年)になるよう切に望む。

アカル、お誕生日おめでとう(明日だけど)。
いつまでも愛してます。
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# by flyingbocian | 2011-12-24 04:25 | 2歳半~3歳

クリスマスイブは

クリスマスイブは近所に住む友人とお昼ごろから自宅で味噌つくりをすることになりました。
何でわざわざイブの日に?って感じですが、ケーキとかクッキーは作りません。笑

イブは3歳になる愛息の誕生日なのでケーキは買うけど。
靴下につめる小物も買いに行かなくちゃな。

この日は朝からマンハッタンのロックフェラーセンター付近で、知り合いがやっているボランティア街頭清掃に参加する予定。掃除の前にいつも集まりに使わせてもらっているVarietyCafeというデリ(テイクアウトもイートインもできるランチ屋みたいなとこ)のオーナーにみんなでありがとうの寄せ書きとプレゼントを進呈するらしい。

その後家で味噌つくりのあと、たぶん旦那の弟がやってきてささやかなイブ&アカル誕生日のディナーを食べる。ちなみに一般のアメリカ人はイブはあまり祝いません。クリスマスと言えば25日。でもポーランド人はイブも祝います。彼らは24日は肉(獣肉)は食べず、12種類(だったか)のおかずと鯉の煮こごりみたいなものを食べるらしい。あ、私の旦那はポーランド人です。

私はもちろん12種類なんて作らないけど、レインボートラウトでも買ってきて焼こうかなと思っています。息子の誕生日会はもう先週してしまったのでちょっと安心。25日は近所の台湾系のお寺で半日瞑想に参加します。

昨日、自転車で走行中、サドルが急にゆるんで完全に下に落ち、そのはずみで私も落ちてしまった。自転車は空中で1回転して逆さに落下しました。ものすごく幸運なことに子どもは後ろに乗っていなかったのだけど、チャイルドシートは道路に強打してシートの前についているバーは吹き飛んでました・・・ 真っ青です。

私は右手首をきつく捻ってしまいましたが、幸いにも頭なども打たず無事でした。ヘルメットをしていなかったので、絶対いつもしてないとだめだなーと痛感です。ほんと何が起こるかわからないので。自転車を見たら、サドルを支えている大きな金属の輪っかが完全に割れていました。・・・・なんで?その時はほんまに自転車を買った会社を訴えて大金をうばってやると思いましたが、後で旦那に見せると、もともとチャイルドシートをくっつけるようにできていない自転車に、むりやり荷台をつけて装填したから負担がかかったのだろうということ。まじで?でもこんなにでっかい輪っかなのに?

頼もしい旦那は翌日早起きしてホームディーポ(ホームデポ、ホームセンター?)に行ってもっと強い金具を買ってきて、仕事に行く前に自転車を直してくれました。ありがとう~!

しかし手首が痛い。夜はじっとしてるとじんじんと痛くなって何度か起きた。今日は久しぶりにダンスクラスへ行ってやる計画をしていたのに、ちょっと無理です。でもヨガには行きます。
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# by flyingbocian | 2011-12-24 02:27 | 自分のこと

ひとこと言いたい

ようやく他の子供とよろこんで遊べるようになったアカル
ここ数ヶ月で第2次劇的成長がみえる

言葉を聞いてもらうのがうれしくて仕方ない
My Tata, don't go (僕の<大好きな>お父さん、行かないで)
仕事行く前におとんはうれしくて泣いてたよ

アカルは本当にすばらしいと私は思う
すごくいい人間だと本当に思う

そう思うのは親だからじゃなくて本当にアカルがすばらしいからなんだ

そしてアカルがそんなに幸せなのは
おとんとおかんが愛してるよっていつも伝えているせいもあると思う

アカルは本当にすばらしい人になると思う
いつまでもその光があなたを覆っていくと思う
愛情が足りなかったらいつでも言ってね
天国からでも送るからね
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# by flyingbocian | 2011-07-16 14:16 | 2歳半~3歳

最近のアカル氏 2011年の夏

Throwng the ball! 生徒さんちのバーベキューに招かれて。おおはしゃぎ

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アーケイディア国立公園 キャデラック・マウンテン なぜかスクワットする2人

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怒られてます

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# by flyingbocian | 2011-07-06 17:34 | 2歳~2歳半


異国のNY砂漠で子育てを乗り切るため睡眠を削って綴るもしかして爆笑もしかして涙ほろり日記


by flyingbocian

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